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新内海ダム 完成模型




<新内海ダムに関連する新聞記事等>


11/25 内海ダム収用用地の工事に着手/香川県
11/25 内海ダム収用用地の工事に着手/香川県

11/23 新内海ダム建設、「反対貫く」
11/23 新内海ダム建設、「反対貫く」

11/22 反対住民「島が沈む」 新内海ダム予定地
11/22 反対住民「島が沈む」 新内海ダム予定地

11/16 取得用地測量、24日開始へ
11/16 取得用地測量、24日開始へ

9/3 コンクリート打設始まる 24年末完成へ
9/3 コンクリート打設始まる 24年末完成へ

8/10 「安全」「景観」揺れるダム事業
8/10 「安全」「景観」揺れるダム事業

それ以前の記事
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<四国新聞社 シリーズ追跡>







<新内海ダムについての専門家の見解>


京都大学名誉教授(地質学)の志岐常正先生より、

新内海ダムに関しての見解をいただきました。

 

志岐先生は小豆島の過去の2度の災害の際にも調査をされています。

※※あくまで暫定的な見解ということですのでご理解ください※※


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    A:香川県は、基本高水がどうのと、水量ばかりを問題にしているようですが、
     そうとすれば、防災の検討にはピント外れです。

      豪雨が自然因の小豆島での災害で恐ろしいのは、1900年代の2回の災害の
     例に明かなように、風化花崗岩山地斜面の崩壊に始まる土石流、土砂流の流下
     によるものです。

  ダムを造るか否か、造るとすれば、その位置、構造などはこの土石流、
     土砂流対策をまず眼目とせねばなりません。

      県が現在考えているダムはそうではないように思われます。

    A’:防災ダムと、利水ダムはそもそも構造が違います。
     
      防災のためには、平常は、なるべく水を溜めない構造であることが求められます。
      いわゆる多目的ダム は、防災、利水のどちらのためにも中途半端で、かえって
      災害を起こす要因にもなりえます。

       なお、土石流対策のダムは、設置場所にもよりますが、むやみに大きい必要
       はありません。高さも40mもある必要はありません。

     A’’:水を溜めないダムがどんな景観をなすかは、想像に難くないでしょう。
      ただし、計画されている巨大ダムは、たとえ水を満々と溜めたとしても、寒霞渓
      の風光にマッチするとは、私には思えません。

       なお、県は、ダム建設後の予想地形模型を写真的イメージ画で示していますが、
      下流側からの画は、高いところから観たものでなく、海面上(舟)からのものが
      必要でしょう。

     B; 小豆島には、土石流災害が起こる地形・地質的条件がありますが、1976年
      の大きな山地崩壊の多くは、別荘団地への道路、一部の林道、山火事の跡など
      からはじまりました。お遍路さんの路や、古いバス道路は崩壊しませんでした。
        

 一方、寒霞渓から流れくだる別当川流域は、かなり長い期間、安定的であった
      ことは、この川が、山地から出ても、暴れ川的でなく中流の川のような蛇行河川
      をなすことからも推測されます。

      (平面図を見ての話です。蛇行は古い地形の名残 あるいは断層の影響かも
       しれませません。現地でチェックする必要があります)。

        なお、一度崩壊した斜面は、しばらく免疫性をもつものです。
      崩れるものがなくなっているからです。

     B’:ダム設置の可否を含め、どのような防災対策をするかを考えるに当たっては、

      上流の山地の風化や、植生などの状況をまず調査、把握する必要があります。

        県は、この調査資料を公開すべきです。風化花崗岩がマサ状になっているか、
       ゴロ(風化残留岩塊)が多くあるのでないか、それらの発達する深さなどがとくに
       重要です。

     C:県が造ろうとしているダムは、場所、大きさともに異常です。
      このことは、次ぎ の二つの問題に関わりましょう。

   C?1:寒霞渓を知り、愛する全国の人達が、このダム設置問題を知れば、
      反対運動に賛同し、協力するに違いありません。

    C?2:裏に何かがある可能性が臭います。証拠は持ちませんが、
      他の異常なダムやトンネル、道路などの例からみて、そう感じます。

    C’:ダムサイトの地質条件、設計(上記の問題とは別に、堤体がしっかりした
     基礎についていないことなど)は問題です。質問などをされるのが良いでしょう。

     ただし、これらを問題にすればするほど、皮肉なことに、設計も工事計画も、
    より大規模化し、土建業者は喜ぶでしょう。




<新内海ダム再開発関係講演会>


小豆島と、高松で開かれた講演会の動画です。

講師の宮本さんは、元国交省の官僚で、かつてはダムを作る側でした。


宮本さんの視点から見た内海ダムの問題点を分かりやすく説明されています。

私も参加して、とても心を動かされました。少し長いですが、ぜひ見てみてくださいね。








<講師紹介>


 宮本博司氏

 1952年京都生まれ。京都大学大学院修士課程土木工学専攻修了。1978年に旧建設省に入り、
技官として河川行政一筋に取り組む。河川開発課課長補佐などを経て、苫田ダム、長良川河口堰

を担当。その後、国交省近畿地方整備局淀川河川事務所長として淀川水系流域委員会の立ち上

げに尽力。同局河川部長をへて本省河川局防災課長を最後に2006年辞職。現在は(株)樽徳商店

会長。本物の木の樽の復活が夢。また新淀川水系流域委員会には一市民として応募。委員長に就任。




<穴あきダムについて>


新内海ダムは「穴あきダム」という種類のダムです。


「穴あきダム」とは、今までのダムと違ってゲートを操作するのではなく、

ダムの壁に小さな穴を開けてあるものです。


以下の記事は、穴あきダムの危険性について京都大学名誉教授の今本先生が書かれたものです。


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◆穴あきダム歴史的愚行に他ならない


今本 博健 (いまもと ひろだけ)  元京都大防災研究所長


 ここ数年、従来の多目的ダム計画を、治水専用の「穴あきダム」に変更して推進しようとする動きが相次いでいる。
国の直轄事業に限ると、淀川水系の大戸川ダム(滋賀県)や九州最大級の川辺川ダム(熊本県)など、地域の合意
が得られていないダムを中心に、10件ほどを数える。補助事業を加えるともっと多く、長野県では前知事時代に「脱
ダム」の象徴として中止が表明された浅川ダムが、穴あきで建設されようとしている。

 穴あきダムには多様な形態があるが、現在推進されているのは、ダム下部の河床近くに直径数bほどの穴をあけ
ておき、普段は川の水をためずにそのまま流し、洪水時は一時的に貯留するタイプのものだ。従来のダムからの変
更が相次ぐ理由は、@水の需要が減ったため建設目的が治水専用になり、水を常時ためる必要がなくなったA穴あ
きにすれば環境悪化への社会的批判の高まりをかわすことができる、という点に集約される。

 私は河川エ学者として各地の住民から相談を受け、穴あきダムの実態を調べているが、いずれも「中途半端なダ
ム」という印象をぬぐえない。

 まず、事業者がうたい文句にする「環境に優しい」は本当だろうか。普段は水をためないので、水がよどんでアオコ
が発生するようなことはないだろう。だが、@魚が穴を通ってダムの上下流を自由に遡上・降下できるA土砂がたま
らない、とする主張は極めて疑わしい。

 国内の本格的な穴あきダムは2年前に完工した島根県の益田川ダムが最初だが、県が昨年公表した環境調査で
は、@アユの遡上が阻害されているA土砂の一部は流れずにたまる、などの点が明らかになった。

 私は何度か視察したが、穴あきダムは、魚が自由に行き来する単純な構造ではない。洪水時に勢いよく水が流れ
るのを食い止める構造物「減勢工」がダムの下流直下にあり、魚が上って行くには、減勢工などを通って穴に向かわ
なければならず、これらが障害になっている可能性がある。土砂も予想以上にダムに堆積しており、下流への砂の
供給が減ると、砂の中に産卵する魚の生態に影響が出る恐れがある。こうした点が何も検証されていないのに「環
境に優しい」と言えるのだろうか。

 治水についても、肝心の大洪水で役立たない恐れがある。特に洪水が間隔を置いて続くケースは危険だ。通常の
ダムは、職員がゲートを操作し、最初の洪水でたまった水を必死に放流して数日内に予想される次の洪水に備える
が、穴あきダムでは、小さな穴から自然に任せて少しずつしか放流できないため、最初の洪水を処理しきれないうち
に次の洪水が押し寄せ、水がダムから一気にあふれて被害が拡大することが予想される。

 また、大雨で山腹が崩壊すれば、流木や岩が絡み合い、穴をふさいでしまう恐れもある。

 事業者は、穴あきダムを「逃け道」にして、ダム建設を強行しようとしている。だがそもそも、ダムに頼る治水は、計
画を超える降雨があれば破綻する。いま急を要するのは、ダム神話の錯覚から目覚め、ダムに頼らない治水に転換
することだ。

 堤防の補強に加え、はんらんした水を輪中堤などで制御する持続的な方法を併用し、さらには避難対策の整備や
危険地域の開発規制など、実現可能な対策を着実に進めることが重要である。こうした転換期に穴あきダムを建設
することは「歴史的愚行」に他ならない。

朝日新聞 2008年7月17日 朝刊17面opinion


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    ※新内海ダムも穴あきダムですが、最近多い形(底に穴のある)の穴あきダムとは形状が少し異なり、
    治水と利水(水を使うための)ダムのため、壁の途中に穴をあけています。穴の高さまでは水が溜まり、
    余った分は流れていく・・・という設計だそうです。

    しかし、上記の記事で問題になっている穴あきダムと同様に、

      ・流木や岩が詰まったらどうするのか
      ・自由に操作できないので、連続した大雨に対応しきれるのか。逆に危なくないか。
      ・高潮が来る時間に勝手に放流することになれば、被害が大きくなるのではないか。

    などという心配があります。

    また、ダムが作られている別当川は狭い小川で、わき水もありません。
    ダムの底の土地も小さい岩の集まりでできているので、底から水が染み出て漏れていかないのかと
    いうことも地元の方は心配されていました。



内海ダム再開発建設事務所資料より


















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